理想のコミュニティとは? (ムラ社会2.0)
自分が所属しているオンライン・コミュニティ『ライフエンジン』内で『コミュニティ(共同体)』についての議論が活発化している。
自分も理想のコミュニティに関して考えていた時期があったので、とても刺激を受けた。
ここで改めて今回の議論と当時考えていたことから、理想のコミュニティに思いを馳せてみようと思う。
○コミュニティの機能
そもそも、コミュニティ (共同体)をつくることにどのようなメリットがあるのか。
コミュニティの機能をまとめる。
・数の力ー単純に大人数が集まっているので、人力が確保しやすい。
・役割分担ーさまざまな人間が集まっているので、得意なことや状況に応じて役割分担して対応することができる。
・共通認識ーお互いに共通の認識 (価値観やコミュニティの現状、メンバーの近況の、その共同体でしか通用しない概念や共通言語など)を持っているのでコミュニケーションがスムーズになる
・共同体意識ーお互いがお互いを仲間だと思っているので、必要な時には無条件で助け合うことができる。また、共同体内部の人間は無条件に信頼され、逆に外敵を発見しやすい
○コミュニティ進化論
ここでコミュニティが、どのように進化してきたのか見直してみる。
・ムラ社会
コミュニティを論じるに当たってはじめに思い浮かべるのは『村』である。
村は『場所』に基づくコミュニティである。
その『場所』に『たまたま集まった (生まれた)』人間同士で作り上げられるコミュニティで、それ以外の共通項は少ない。
生まれたときから共同体の一員になるため、前述のコミュニティのメリット(特に共通認識と共同体意識)が強く得られる。一方で、以下のようなデメリットもある。
・ルールと他者の目に縛られるー共通認識と共同体意識が強いぶん、コミュニティ内のルールに縛られ、そこから逸脱したものは排除されがち。
・多様性の否定ー参加者全員でルールを作って行くので、多様性よりも均質であることが求められ、価値観が最小公倍数的になりがち。
かつてはムラ社会でも十分に機能していたが、現在の多様化した価値観の中にはそぐわない場合も多く、実際若者は村から出て行ってしまう。
・コンセプト・シェアハウス
近年で言えばシェアハウスもムラ社会に近い。さまざまな理由で集まった他人同士が一つの家に住まうので、ルールや目線に縛られがちになる。
その中で、新しいカタチのシェアハウスが生まれた。
それが『趣味』に基づくコミュニティ『コンセプト・シェアハウス』である。
コンセプト・シェアハウスは、ひとつのコンセプトにしたがって、同じ趣味や目的を持った人間同士で作り上げるコミュニティである。
古くは手塚治虫など当時漫画家たちが集まった『ときわ荘』のイメージ。
漫画でも料理でもゲームでもなんでもいいのだが、ひとつの趣味によって作られるコミュニティである。
このコミュニティのメリットは、先に挙げたものに加え
・共有することでコストを下げられる ー共有可能なスペースや道具を持ち寄ることでトータルでかかるコストを大幅に抑えられる
・継続しやすい環境ー趣味であってもモチベーションを持って継続することが難しいこともある。また、スポーツやボードゲームのように人数がある程度集まらないと始められないものもある。そう行った時に、共通の趣味で集まったもの同士なら即座に始めることができる
一方、同じ趣味を持つもの同士が集まっているので多様性が生まれにくい。また、その趣味への関心が薄らいだ時に抜けるのが難しいというデメリットもある (抜けにくいというのは多くのコミュニティにもあるデメリット)
・オンライン・コミュニティ
インターネットやSNSの普及が『場所』によらないコミュニティづくりを可能にした。それがライフエンジンを含む『オンライン・コミュニティ』である。
オンライン・コミュニティはいわば『価値観』に基づく共同体である。
長期的な目標や行動指針など価値観の近いもの同士によって作られる。
オンライン・コミュニティにおけるメリットは
・場所性にとらわれないー全国どこでもいつでも参加できる (ベルリンからでも!)
・摩擦が少ないー価値観という思考の根幹の部分が共通しているので、摩擦が起きにくい
・最大公約数が基準になるー根幹の価値観によって結びついているため、それ以外の多様性が保たれ、他のメンバーによってさらに引き上げられる。
特にライフエンジンは…
・コミュニケーションコストが低いーストレングス・ファインダーやウェルスダイナミクスなどの共通認識やSlackなどのアプリを駆使した結果、コミュニケーションにかかるコストが大幅に低下している。参加者同士の「話が早い」。(デメリットととして新規参入者が戸惑いがちになるが、そこに関しては対策中…)
・自己分析に強いー前述のストレングス・ファインダーやウェルスダイナミクスによる自己分析を受けているメンバーが多く、能力の共有がしやすい。必要なときに必要な人に頼ることが容易で、自分の役割も自主的に理解することができる
一方、オンライン・コミュニティでは場所性から得られるメリットが弱まるため、リアルな (物理的な)やりとりが必要な場合は工夫が必要になる。
・ムラ社会2.0
『場所』のメリットと『価値観』のメリット、両者のいいとこ取りをしたのが、「ムラ社会2.0」とも言える共同体感である。
オンライン・コミュニティのように価値観に基づいて集まった仲間で物理的な場所作りを行う。そうすることで前述のメリットをまとめて受けることができる。
DASH村をみて楽しそうだなぁ…やってみたいなぁ…と思った人は多いはず。
でも、実際にやるとなるとさまざまな問題が発生する。
経済的な障壁、メンバーの選定、モチベーションや、共通認識の維持…
それらの問題を乗り越えるために、価値観によって集まったオンライン・コミュニティのメンバーで共同でむらづくりを行う。
メンバーは共通の目標のもと、自分の能力を最大限に発揮し合うことで参加することができる。
『村を作りたい!』から始まる事業はいくつかあるが、このオンライン・コミュニティからはじまる村づくりは『これだけの仲間がいるんだから、村くらい作れるでしょー』というのがスタート地点になる。
価値観によって集まり、多様性を認めあいながら、自分の役割を果たし、貨幣経済によらない相互扶助による継続可能なコミュニティをつくる。それが『ムラづくり2.0』『ムラ社会2.0』である。
準備は整った…さあ、みんなで新しい村づくり始めませんか?